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読者に  ボードレール


             読者に

   愚かさ、誤り、過ち、けちは
   我々の精神を占領し、肉体を苦しめている、
   そして我々は自分たちの愛すべき悔恨を養っている、
   乞食らが彼らの虱を育てているように。

   我々の過ちは頑固だ、我々の悔悟は無気力だ。
   我々は我々の告白を気前よく償ってもらう、
   そして我々は泥だらけの道を陽気に帰ってくる、
   卑しい涙で全ての我々の汚れが清まると信じて。

   悪の枕の上で、三倍も偉大なるサタンが、魔法に
   かけられた我々の精神を長々と揺すってあやしている、
   そして我々の意思である豊かな金属は
   その博識な化学者によって全て蒸発させられる。

   悪魔なんだ、我々を動かす糸を握っているのは!
   忌まわしい物に我々は魅惑を見いだす。
   毎日、地獄に向かって、我々は一歩ずつ降りていく、
   畏怖もなく、臭い暗闇を横切り。

   古臭い売女の苦しめられた乳房に
   キスして食べる貧しい放蕩者と同様に、
   我々は通りがかりに秘密の快楽を盗む。
   それを我々は強くしぼる、古いオレンジのように。

   びっしり、群れて、百万の蠕虫みたいに、
   我々の脳のなかで群れる悪魔らが酒盛りだ、
   そして、我々が息をするときはいつも、死は我々の
   肺のなかに降りてくる、見えない大河、鈍い嘆き声で。

   もし強姦、毒薬、短刀、火災
   それらの快い模様を、我々の情けない運命の
   平凡なカンバスにまだ刺繍していなかったなら、
   それは我々の魂が、ああ!十分に大胆でないからだ。

   だが、ジャッカルたち、豹たち、雌猟犬たち、
   猿たち、蠍たち、禿鷹たち、蛇たち、
   怪物たち、かん高く鳴き、遠ぼえし、唸り、這っていて、
   我々の悪徳の動物小屋にいるのだが、それらの間に

   もっと醜く、もっと悪意で、もっと不浄な奴がいる!
   そいつは大きな身ぶりや大きな叫びはしないが、
   容易に地球を破片にしたり
   あくびひとつで世界を飲み下すかもしれない。

   それは倦怠だ! ― 目は無意識に涙をためる、
   そいつは水煙管を吸いながら、死刑台を夢見ている。
   きみは知っているんだ、読者よ、その繊細な怪物を、
   ― 偽善の読者、― 私の同類、― 私の兄弟よ!






悪の華 ボードレール


      完全無欠な詩人
 
   フランス文学の完璧な魔術師
  私のとても親しく、とても敬愛する

      師であり友である
    テオフィル ゴーティエに

     この上なく深い恭順の
       気持ちをこめて

       私はこれらの
     病的な花々を捧げる

          C.B.



出現   マラルメ


             出現

   月は悲しんでいた。熾天使たちは涙して、
   楽弓を指に、おぼろげな花々の静寂のなかで夢見て、
   もの憂げなヴィオルから花冠が群れる蒼穹に滑りこむ
   清らかなすすり泣きを引き出していた。
   ―その日だった、きみの初めてのくちづけは祝福された。
   私の夢想は私を好んで苦しめ、
   後悔がなく苦い後味がなくても、夢の収穫が
   夢を摘み取った心に残している悲しみの
   香りに訳知りで酔っていた。
   それで私は彷徨っていた、古い舗石に目をしっかり向け。
   その時、髪に日の光を受け、通りで
   夕方に、きみは笑いながら現れた。
   私は輝く帽子の妖精を見たと思った。
   遠い昔、それは甘やかされた子供だった私の美しい
   眠りの上を通り過ぎていた。軽く握った両手から
   香る星々の白い花束をいつも雪と降らせて。
   
   


夏の悲しみ   マラルメ


           夏の悲しみ

   太陽は、砂の上、おお戦う女が眠っているが、
   金色のきみの髪のなかで悩ましい湯船を熱くしている、
   そして、敵の頬に香を焼きつくして、
   恋の飲み物を涙に混ぜている。

   その白い火炎の変わらない小休止は
   悲しんだきみに言わせた、おお私のおびえた接吻よ、
   《私たちは決してミイラなんかにはならないわ、
   古い砂漠と幸福な椰子の下で!》

   だがきみの髪は心地よい流れ、
   そこに震えなく溺れるのは我々に取りつく魂
   そして見いだすのはきみが知らないあの虚無!

   私はきみの涙で濡れたおしろいを味わおう、
   きみが強打したその心に、それが青空と石の
   無感覚を与えることができるのかを認めるために。
   




挨拶   マラルメ


             挨拶
  
    この泡立ち、処女の詩句、
    ただ脚付きグラスを指し示すしかない。
    これほど遠く群れをなすセイレンたちが
    溺れている、さかさまにたくさん。

    われわれは航行する、おお私の色々な
    友々よ、私はもう船尾にいる、
    きみらは豪奢なその前部にいて、
    そこは雷と冬の潮を切り開いている。

    美しい陶酔は私を誘い
    船の縦揺れさえ恐れずに
    立ってこの挨拶を捧げる、

    孤独、暗礁、星
    われわれの帆の白い悩みに
    値した総てのものに。





海風   マラルメ



             海風

肉体は悲しい、ああ! そして私はすべての本を読んだ。
逃れている! 彼方へ逃れている! 私は感じる、
鳥たちが未知の泡立ちと大空のあいだで陶酔しているのを!
何も、目に映された古い庭々も、
海に浸るこの心を引き止めないのだ、
おお夜々! 白さが守る何もない紙のうえにある
私のランプのうつろな明るさも、
そして子に授乳する若妻も。
私は出発する! 蒸気船、全マストを揺すっている、
錨を上げよ、異国の自然をめざして!
倦怠は、残酷な希望で困惑しているが、
ハンカチらの最後の別れをまだ信じている!
しかも、たぶん、数々のマストは、雷雨を招き、それらは
風が幾つもの絶望した難破船の上で傾けているものだろう、
マストがない、マストがない、豊かな小島群もない. . .
だが、おお私の心よ、聞くがよい、その水夫らの歌を!



[ 福音の散文 ]  ランボー

 
        
            [ 福音の散文 ]


            [ サマリア. . . ]
 サマリアでは、何人もの人々が彼への信仰を表明した。
彼は彼らに会わなかった。サマリアは、成り上がり者で、
エゴイストで、プロテスタントみたいに戒律を頑固に守
っていた、古代の律法の石板を尊重するユダ王国よりも。
そこでは全体の富が見識のある議論をほとんど不可能に
していた。詭弁は、因習の奴隷と兵士だが、すでにそこ
で何人もの預言者たちの喉を切って殺した、その人らに
追従した後で。
 それは不吉な言葉だった、水くみ場での女のそれは、
《あなた方は預言者です、私がしたことをご存知です。》
 その女たちや男たちは預言者たちを信じていた。今や
人々は政治家を信じている。
 見知らぬ町から二歩のところにいて、その町を実際上
脅かすことが不可能だが、彼が預言者として受け入れら
れたなら、彼はそこでとても風変わりな態度をとってい
たので、彼はどうしただろうか?
 イエスはサマリアでは何も言えなかった。


            [ ガリラヤ. . . ]
 ガリラヤの感じのいい軽い風。その住民たちは好奇心
のある喜びで彼を迎え入れた。彼が神聖な怒りに動かさ
れて、神殿の両替商らや獣肉商らを鞭で打っているのを、
住民たちは見ていた。激怒する青白い青年期の奇跡だと、
彼らは思っていた。
 彼は感じた、彼の手が幾つかの指輪がはめられた両手
のなかにあり、ある役人の唇の下にあることを。役人は
土埃のなかで跪いていた。そして彼の顔はかなり気持ち
よかった、半ば禿げあがっていたが。
 馬車たちは狭い通りを突っ走っていた。動きは、この
町にしては相当激しい。すべてはその夜あまりにも満ち
足りているはずだと思われた。
 イエスは自分の手を引っ込めた。彼は子供っぽい、女
っぽい自尊心の動きをした。《 あなたたちは、奇跡を見
なければ、少しも信じない。》
 イエスはまだ少しも奇跡を行っていなかった。彼は、
婚礼で、緑とバラ色の食堂で、聖処女マリアに少し声を
高めて話したことがあった。それなのにカナの葡萄酒に
ついて話した者は、カペルナムでは、市場でも、波止場
でも一人もいなかった。ブルジョワらは話したかもしれ
ないが。
 イエスは言った、《 行くのだ、あなたの息子は体調が
良くなっている 》。その役人は立ち去った、人は何か軽
い薬を持って行く時に。それからイエスは、さらに人通
りの少ない通りを歩き続けた。昼顔、ルリチシャは舗石
のあいだで、不思議な微光を見せていた。とうとう彼は
遠くに見たのだ、土埃のたつ草原を、そしてキンポウゲ
とマーガレットが太陽に向かって赦しを請うているのを。


            [ ベテスダ. . . ]
 ベテスダは、五つの回廊に囲まれた池だが、鬱陶しい
箇所だった。そこは、いつも雨に苦しめられ、かび臭く
陰気な共同洗濯場のようだった。そしてその乞食らは、
内部の階段上でそわそわしていた、そこは地獄の閃光の
前兆のような雷雨の微光によって青白くなっていて、盲
目の青い目を、切断されて先のない四肢を包む白や青の
布を、冷やかしながらだった。おお軍隊の洗濯場、おお
庶民の浴場。その水はいつも黒かった、そしてどんな不
具者もそこに落ちてはいなかった、夢のなかであっても。
 そこだ、イエスが最初の重大な行いをしたのは。おぞ
ましい不具者らを相手に。二月か三月か四月のある日の
ことだった、午後二時の太陽は光の大鎌を埋もれた水面
に広がるままにしていた、そして向こうに、不具者らの
遥か後ろに、ぼくがすべてを見ることができたであろう
時、そのすべてはその光線だけが、横向きに寝ている白
い天使のような反映のなかで、芽や水晶や虫ゆえに目覚
めさせていたのだが、限りなく弱いすべての反映は揺れ
ていた。
 そのとき、すべての罪は、悪魔の執拗で軽薄な息子ら
であり、それらの人々を少しは感じやすい心のために、
怪物よりも恐ろしくしていたし、その水に身を投げたが
っていた。それらの不具者らは降りて行った、もうから
かわないで、行きたい気持ちで。
 最初に入った者らは治って出てきた、と言われていた。
違う。罪は彼らを階段の上に追い返し、他の場所を探す
ように強いていた。なぜなら、彼らの悪魔は、施し物が
確実な場所にしかとどまることができないからだ。
 イエスは正午過ぎ、すぐに入って来た。だれも家畜を
洗ってはいなかったし、池に降ろしもしていなかった。
池のなかの光は、葡萄の最後の葉々のように黄色かった。
神々しい師は、一本の円柱に寄りかかっていた。彼は罪
の息子らを眺めていた。悪魔は彼らの舌を使って舌を出
していた。そしてあざけていた、あるいは遠ざけていた。
 麻痺の病人は立ち上がった、彼は横向きに寝たままだ
ったが。そして、不思議にもしっかりとした足取りで、
彼が回廊を越え、町のなかに姿を消していくのを、彼ら、
地獄落ちの者どもは見たのだ。


愛の砂漠


              愛の砂漠

              まえがき      

以下の書かれたものは、ある若者、とても若い男による
もので、その生活はどこにでも展開してきた。母もなく、
故郷もなく、人々が知っていることには全く気にとめず、
あらゆる道徳的な力から逃げていて、以前にいた何人も
の哀れな若者らのようだった。だが、彼は、とても退屈
で、とても不安だったので、彼を死へ仕向けさせるしか
なかった、恐ろしい運命的な羞恥へ向かうように。女を
愛さなかったが、―たくさんの血はあったけれども!―
彼は獲得した、彼の魂と心を、あらゆる彼の力を、それ
らは奇妙で悲しい誤りのなかで育てられた。次の夢々は、
―幾つかの彼の恋愛事件!―それらはベッドのなかでも
街にでも彼にやって来たが、そしてそれらの続きや結末
から、宗教的な甘美な考察から、明らかになる。多分人
は伝説的なマホメット教徒たちの連続する眠りを思い出
すだろう、―それでも勇敢で割礼をしていた! だが、
それらの変な苦しみは、不安を抱かせる権威があるから、
率直に望むべきことは、ぼくらみんなの間に迷い込んで、
死を望んでいるように見えるこの魂が、あの瞬間に確か
な慰めに出会い、毅然としていてほしいことだ!

                   A. ランボー


             愛の砂漠

 たしかに、同じ田舎。ぼくの両親の、同じ田舎の家。
同じ部屋、ドアの上部にあるのは武器とライオンが伴っ
た赤茶色の田園の装飾。晩餐のときに、客間が使われる、
蝋燭とワインがあり壁は田舎風の板張りになっている。
食卓はとても大きい。女中たち!彼女たちは幾人もいた、
ぼくが思い出した範囲でも。―そこに昔のぼくの若い友
人がひとりいた、神父で神父の服装だ、今や。それはも
っと自由であるためだった。ぼくが思い出すのは緋色の
彼の部屋だ、ガラス窓には黄色の紙。そして彼の本もだ、
隠され、大洋に浸っていた!
 ぼくはといえば、見捨てられていた、この果てしない
田舎の家で。台所で読書し、ぼくの服の泥を客間で会話
中の客たちの前で乾かして。朝の牛乳の囁きと前世紀の
夜のそれに死ぬほど感動して。
 ぼくはとても暗い部屋にいた。ぼくは何をしていたの
か? ある女中がぼくのそばにやって来た。ぼくは言う
ことができる、それは一匹の小さな犬だったと。美人
ったけれども、ぼくには表現できないほどの母親の気高
さを持ち、清純で、よく知られていて、とても素敵で!
彼女はぼくの腕をつねった。
 ぼくはもう彼女の顔をあまり覚えてはいない。それは
ぼくが彼女の腕を覚えているためではないし、その腕の
皮膚をぼくは二本の指でならしたが、彼女の口のためで
もない、その口をぼくの口がとらえたが、なにかを果て
しなく浸食している絶望した小波のように。ぼくは彼女
を倒した、暗い片隅で、クッションと帆布の籠のなかに。
ぼくはもう白いレースのついた彼女のズロースしか思い
出さない。―それから、おお絶望よ、隔壁は木々の影に
かすかになった、そしてぼくは深淵に沈んでしまった、
夜を愛する悲哀のもとで。


 今度は、ぼくが街で会った女のことだ、ぼくが彼女に
話しかけた、すると彼女はぼくに話をするんだ。
 ぼくは明りのないある部屋にいた。誰かがぼくに言い
に来た、彼女がぼくの家にいると。そしてぼくは彼女が
ぼくのベッドのなかにいるのを見た、すっかりぼくに向
かっていて、明りもない!ぼくはとても心を動かされた、
そこは家族の家だったから大いにだ。さらに苦境がぼく
をつかんだ!ぼくはぼろを着ていた、ぼくは、で彼女は、
社交家だ、身を任せていた。彼女には出て行く必要があ
った!言いようのない苦境。なぜなら彼女をつかまえ、
彼女をベッドの外に倒れ込ませたから、ほとんど裸で。
そして名状しがたい虚脱のなかで、ぼくは彼女の上に倒
れて、彼女と一緒に這い回った、明りのない絨毯の間に。
家族のランプが近くの部屋をひとつずつ赤くしていた。
そのとき女は姿を消した。ぼくは涙を流した、神がそれ
を決して求めることのできないほどの。
 ぼくは果てしない街に出た。おお労苦よ!無声の夜の
なかに溺れて、そして幸福の逃避のなかにも。それは冬
の夜のようだった、世界を確かに窒息させるための雪を
伴うのだ。ぼくが、彼女はどこにいるのかと呼びかけた
友人たちは、偽って返事をしていた。ぼくは彼女が毎晩
行く場所のガラス窓の前にいた。ぼくは秘められた庭の
なかを奔走していた。誰かがぼくを追い返した。ぼくは
けた外れに泣いていた、これらすべてに。最後に、ぼく
は埃だらけの場所に降りて、骨組みの上に腰を下ろし、
ぼくの体のすべての涙を、この夜とともに使い果たすに
まかせた。―そしてぼくの衰弱はそれでもいつも戻って
きた。
 ぼくは理解した、彼女が日々の生活に生きていること
を、そして優しさが一周してくるには星の再生ほどの長
さがかかることを。彼女は戻らなかった、そして決して
戻ってこないだろう。その愛らしいひと、ぼくの家に届
いた、―それはぼくが思わなかったことだ。―本当に、
今度こそ、ぼくは泣いたのだ、世界のすべての子供たち
よりも。
 




[ 聞け、さかりの鹿の. . . ]

      
       [ 聞け、さかりの鹿の. . . ]

    聞け、さかりの鹿の鳴き声のように
    アカシアの木々のそばで
    四月にエンドウの
    緑のからむ手を!

    きれいな靄のなか、
    月の女神に向かって! きみは見る
    かつての聖人らの頭が
    揺れ動いているのを. . .

    遠く離れて、岬の明るい
    積みわらから、美しい屋根から。
    そのいとしい古人らは
    この陰険な媚薬を欲しがっている. . .

    ところで週日のものでも
    天体のものでもない!
    その靄は、それはこの夜の
    効果が発している。

    それでも彼らは残る、
    ― シチリア、ドイツ
    悲しく青白い
    この霧のなかで、まさに!



[狼は吠えていた、葉っぱの下で. . . ]


   [狼は吠えていた、葉っぱの下で. . . ]


       狼は吠えていた、葉っぱの下で。
       食事にとった鶏たちの
       きれいな羽を吐き出して。
       彼のようにぼくも憔悴する。

       サラダ菜、果実は
       摘み取られるのを待つしかない。
       でも生け垣にいるその蜘蛛は
       スミレだけしか食べやしない。

       ぼくは眠りたい! 沸騰したい 
       ソロモン王の祭壇で。
       できた泡が錆の上を流れる
       そしてセドロン谷へ合流する。



飢えの祭り


         飢えの祭り


       ぼくの飢えよ、アンヌ、アンヌ、
       逃げてしまえ、きみのロバに乗って。

   ぼくに嗜好があるとすれば
   それはほとんど土と石だけ。
   ディン!ディン!ディン!ディン!ぼくは食う、空気、
   岩石、土、黒がね、
 
   回れ、飢えたち! 食え、飢えたち、
       牧場、麦かすの!
   それから目立たない震える毒
       昼顔のだ、

   砂利、貧者が砕いたもの、
   古い石々、教会のだ、
   丸い小石、洪水の息子、
   パン、灰色の谷間に横たわっている!

   ぼくの飢え、それは黒い大気の端々、
       蒼穹の鐘つき男、
   ― それは胃だ、ぼくを引っぱる。
       それは不幸だ。

   地上に現れたのは葉々。
   ぼくは熟れすぎた果物の果肉を目指す。
   畝溝のふところで、ぼくが摘むのは
   ノヂシャとスミレ。

       ぼくの飢えよ、アンヌ、アンヌ!
       逃げてしまえ、きみのロバに乗って。



[ 彼女はエジプトの踊り子か?. . . ]


   [ 彼女はエジプトの踊り子か?. . . ]

  彼女はエジプトの踊り子か?. . . 初めの青い時刻に
  壊れるのか、彼女は、亡き火の花々のように. . .
  素晴らしい広がりを前にして、そこは並外れて
  繁栄した都市の吐く息が感じられる!

  あまりにも美事だ! あまりにも美事だ! だが必要だ
  ― 海女と海賊の歌にとって、
  そしてさらに最後の仮面らが、清純な海の上の夜宴を
  まだ信じたのだから!



[ 葉鶏頭の長い花壇. . . ]


       [ 葉鶏頭の長い花壇. . . ]

      7月  ブリュッセル
              レジャン大通り


  葉鶏頭の長い花壇
  快いジュピターの宮殿まで続く。
  ― ぼくが知るのは、きみが、これらの場所に、
  ほとんどサハラのきみの青を混ぜていることだ!

  それから、なんと太陽の樅の木とバラそして
  つる植物がここでは閉じこもった遊びを持ち、
  かわいい寡婦の牢屋だ!. . .
                 なんたる
  鳥の群れなんだ、おお、ヤヨ、ヤヨ!. . .

  ― 静かな家々、昔の情熱の数々!
  あずまや、情愛によって狂った女の。
  バラの木々の後ろには、バルコニー
  薄暗くとても低くジュリエットのだ。

  ― ジュリエット、それはアンリエットを
  思い出させる、魅力的な鉄道の駅も、
  山間にあり、果樹園の奥のようだ、
  そこでは千の青い悪魔らが空中で踊っている!

  緑のベンチ、そこで歌っているのは、色白のアイル
  ランド娘、雷雨の楽園ギターに合わせている。
  それから、ギアナの食堂での
  おしゃべり、子どもらや籠々のだ。

  公爵邸の窓でぼくが思うのは
  エスカルゴとツゲの毒、その木は
  この世で日差しを受けて眠っている。そして
  あまりにも美事だ! あまりにも! 黙っていようよ。

  ― 大通り、往来も商売もなく
  無言のあらゆるドラマコメディー
  無限の場面の集合だ、
  ぼくはおまえを知る、そして感嘆する、黙って。



若いカップル


           若いカップル

   その部屋はトルコ・ブルーの空に開かれている、
   スペースがない、大小のケースたちで!
   壁の外には馬の鈴草がいっぱいある、
   そこかしこで小妖精らの歯茎がふるえている。

   まさしく精霊の陰謀だ
   そんな出費やむなしい散らかりは!
   アフリカの妖精が、黒イチゴを
   運んでいる。そして隅々にはネットだ。

   何人か入ってくる、不満足な代母らだ、
   すそを光らせ、食器棚のところに、
   それからそこに居残る! カップルは不在だ
   ほとんど不真面目で、それで何も行われていない。

   新郎は、自分をだます風に吹かれる、
   彼の不在の間、ここで、いつも。
   悪意のある水の精まで入ってきて
   アルコーヴのあたりをうろつく。

   夜、友の、おお!蜜月が
   二人の微笑みを摘むだろう、そして
   銅の千の目隠しで空を満たすだろう。
   それから二人は意地悪鼠を相手にするのさ。

   ― 青白い鬼火が起らないのなら、
   銃の発射のように、晩課の後で。
   ― おお、ベツレヘムの聖なる白い幽霊たちよ、
   むしろ魔法にかけろ、二人の窓の青色を!



忍耐の祭り


          忍耐の祭り


          1.五月の団旗
          2.最も高い塔の歌
          3.永遠
          4.黄金時代


          五月の団旗

       菩提樹のまばらな枝々に
       猟師の病的な叫び声が消えて行く。
       だが魂の歌々は
       スグリの実々の間に飛び回っている。
       ぼくらの血が血管で笑うがいい、
       葡萄のつるの絡み合いになる。
       空は天使みたいにきれいで
       青空と海はひとつになる。
       ぼくは離れる。光線がぼくを傷つけるなら
       ぼくは苔の上で死のう。

       我慢しても退屈しても
       それはあまりにも単純だ。ちぇっだ
       ぼくの苦労なんか。ぼくは劇的な夏が
       運命の戦車にぼくを結ぶことを望んでいる。
       とてもおまえによって、おお自然よ、
       ― ああ! 孤独や無価値を少なくして!―
       死にたい。それなのに羊飼いらは、妙だが、
       社会によってほとんど死んでいる。

       ぼくは強く願っている、季節がぼくをすり
       減らすことを。自然、おまえにぼくは屈する。
       ぼくの飢えもあらゆるぼくの渇きも。
       そして、どうか、食べさせて飲ませてくれ。
       まったくぼくに幻想を抱かせるな。
       親たちに微笑みかけることだ、太陽にそう
       することは。だがぼくは何も微笑みたくない。
       そして自由であるがいい、この不幸は。

                    5月 1872



         最も高い塔の歌

          無為の青春
          すべてに屈従していた。
          繊細ゆえに
          ぼくは自分の人生を失った。
          ああ! 来てくれ、みんなの
          心が夢中になる時が。

          ぼくは自分に言った、ほうっておけ、
          そして誰にもおまえを見せるな、
          もっと強い喜びの
          約束なしに。
          何もおまえを止めてはいけない、
          厳かな引退だ。

          ぼくはさんざん我慢した
          いつまでも忘れていたいくらいに。
          恐れと苦痛の数々は
          天国に飛んで行った。
          すると病的な渇きは
          ぼくの静脈を暗くした。

          たとえば草原、
          忘却にゆだねられた、
          生い茂り花開く
          香る草と毒麦のある、
          かすかに凶暴な音のする
          百の汚いハエどものいる。

          ああ! 千のやもめ暮らし、
          そんなに哀れで
          聖母に
          似せただけの魂の!
          祈りを捧げるのか
          聖母マリアに?

          無為の青春
          すべてに屈従していた。
          繊細ゆえに
          ぼくは自分の人生を失った。
          ああ! 来てくれ、みんなの
          心が夢中になる時が!

                   5月 1872



              永遠

         見つかった。 
         何が? ― 永遠だ。
         太陽といっしょにいった
         海なんだ。

         見張り番の魂よ、
         告白をささやこうよ
         こんなに無能な夜について
         燃え上がる昼について。

         賛同する人々から、
         ありふれた高揚から
         そう君は解放され
         飛んでゆけ。

         だって君らだけから、
         サテンの燠らよ、
         義務は発散されるんだ
         ようやく、と言う間もなく。

         まさに希望はない、
         いかなる生誕もいらない。
         辛抱強く学問だ、
         責め苦があるのは確実だ。

         見つかった。 
         何が? ― 永遠だ。
         太陽といっしょにいった
         海なんだ。

                5月 1872   
       


             黄金時代

       声々のひとつは
       いつも天使のようだが
       ― ぼくについて ―
       厳しく説明する。

       その千の問いは
       枝分かれしていて、
       結局は、陶酔や狂気にしか
       ならない。

       見分けろ、この芸当を    
       とても陽気で、とても容易だ。
       それは波、植物相でしかない、
       そしてそれがおまえの家族だ!

       それからそれは歌っている、おお
       とても陽気で、とても容易だ、
       そして裸の眼には見える. . .
       ― ぼくはそれと共に歌う、―

       見分けろ、この芸当を
       とても陽気で、とても容易だ。
       それは波、植物相でしかない、
       そしてそれがおまえの家族だ!. . . 等々. . .

       そのうえまた声だ
       ― それは天使のようだ!―
       ぼくについて
       厳しく説明する。

       そしてすぐに歌う
       呼気に似て。
       ドイツ調だが
       熱烈で充分だ。        

       この世は悪徳だ。
       それがおまえを驚かすだって!
       生きろ、そして火にくべろ
       暗い不運なんか。

       おお! きれいな城よ!
       何とおまえの人生は澄んでいることか!
       いつの時代からおまえはあるのか、
       君主の自然
       ぼくらの偉大な兄の! 等々. . .

       ぼくも歌う、ぼくも。
       様々な姉妹たち! 声
       まったく公開されていない!
       ぼくを取り巻け
       慎み深い栄光で. . . 等々. . .

                6月 1872



渇きの喜劇

          渇きの喜劇

           1. 祖先

       わしらはきみの祖父母、
          偉大じゃ!
       月と草木の冷たい汗に
       包まれておる。
       わしらの辛口の酒には心があった!
       欺瞞なき太陽を浴び
       何が人間に必要か? 飲むことじゃ。

   ぼく ― 未開の大河で死ぬことだ。

       わしらはきみの祖父母、
          田舎のじゃ。
       水は柳の木々の奥にある、
       見よ、堀の流れを、
       湿った城の周りにある。
       降りようではないか、わしらの酒蔵に、
       後で、りんご酒と牛乳じゃ。

   ぼく ― 雌牛が水飲むところへ行くことだ。

       わしらはきみの祖父母、
          つかめ、飲め
       戸棚のなかのリキュールを。
       紅茶コーヒーは、珍品で、
       やかんのなかでコトコト沸いとる。
       ― 見ろ、絵や花を。
       わしらは墓場から戻ってるのじゃ。

   ぼく ― ああ! すべての骨壷を涸らすことだ!


           2. 精神

       永遠のオンディーヌたち
          純粋な水を割れ。
       ウェヌス、青空の姉妹、
          清純な潮を感動させろ。
       ノルウェーのさまよえるユダヤ人たち
          おれに雪を語れ。
       親愛なる古代の追放者たち
          おれに海を語れ。

   ぼく ― いや、もういらない、そんな清純な飲み物、
          コップ用のそんな水中花。
       伝説も絵も
          ぼくの渇きを癒さない。
       歌謡作者、きみの代子よ
          ぼくの渇きはそんなに気の狂った
       ヒュドラ、内心の口なしのだ、
          それは蝕み困らせている。


           3. 友人ら

       来い、酒が浜辺に達している、
       それで何百万もの波々だ!
       見ろ、野生のビター酒が
       山々の頂から転がり落ちるのを!

       たどり着こう、賢明な巡礼者よ
       アブサンへ、緑の列柱にある. . .

   ぼく ― もういらない、そんな風景は。
       酔いとは何か、友よ?

       ぼくは池のなかで
       腐ったほうがいい、
       恐ろしいクリームの下で、
       浮かぶ木々の近くで。


           4. 哀れな夢

       おそらく夕暮れはぼくを待っている、
       その時ぼくは静かに飲んでいるだろう
       どこかの古い都市で、
       それからもっと満足して死ぬだろう。
       ぼくは我慢強いから!

       ぼくの困難が甘受するなら
       ぼくがいつか金銭をいくらか得るなら
       ぼくは北の国を選ぼうか
       それとも葡萄の国か?. . .
       ― ああ、夢見るのは価値がない

       それはまったくの無駄だから!
       そしてぼくが再び昔の旅人に
       なるにしても、
       決して緑の宿屋は
       ぼくに開かれるはずもない。


           5. 結論

       鳩たち、草原で震えている、
       猟獣、夜見えて走っている、
       水の動物、隷属した動物、
       最後の蝶々!. . . みんな同じく渇いている。

       だがあの迷い雲が消えるところで
       消えること、― おお! 爽やかなものに
       恵まれて! 日々の暁がそれらの森を覆って
       いる濡れた菫畑の上で消えることなのか?

                   5月 1872.



ミシェルとクリスティーヌ


      ミシェルとクリスティーヌ

ちえっ、それで太陽がこれらの岸辺と別れるなんて!
逃げろ、澄んだ洪水! これが街道の影だ。
柳の木々に、古い前庭に、
雷雨は最初に大粒のしずくを投げかける。

おお、百の子羊らよ、ブロンドの牧歌的兵士らから、
水路から、やせたヒースから、
逃げろ! 平野、砂漠、草原、地平線は
雷雨の赤い化粧をしている!

黒い犬、マントを吹き込む牧人、
逃げろ、上層の稲妻の時に。
ブロンドの羊の群れ、いま影と硫黄が漂うとき、
降りろ、もっとよい隠れ家に。

だがぼくは、主よ! ぼくの精神は
飛んでいる、赤く凍った空を追い、天の
雲の下を。そこでは雲が線路のように長い
百のソローニュ地方の上を流れ飛んでいる。

そこに千の狼ら、千の野生の種子がある、
それらを持ち去るのは、昼顔も愛さない
ことがない、きょうの敬虔にして雷雨の午後だ、
百の遊牧民が行く古くからの欧州で!

それに次いで、月の光! 荒野のどこもかしこも、
黒い空に額を赤く染めた戦士らは
青白い軍馬にゆっくり乗っている!
小さな石々はその誇り高い兵士団の下で鳴り響いている!

― それからぼくは見るだろうか、黄色い森と明るい谷を、
青い目の妻、赤い額の男、おおガリア、そして白い
過越しの小羊、あの人たちの足元にいる、― ミシェルと
クリスティーヌ、― そしてクリスト! 牧歌の終わり。



記憶


            記憶


            1
透明な川。子供時代の涙の塩のようだ。
女たちの肉体の白さの太陽への急襲。
群れをなす(清純な)百合の、ある
乙女が守った壁の下の、旗の絹だ。

天使の浮かれだ。―(ちがう). . .黄金の流れは前進して、
黒い、重い、特に新鮮な、草の腕々を動かしている。
その川は、天蓋としての青空の前で沈み、
帳のために丘やアーチの影を呼んでいる。



             2
えっ! 濡れたガラスは澄んだ気泡を一帯に広げている!
川は用意された寝床を、底なしで青白い黄金で満たしている。
女の子らの緑で色あせたドレスは柳の並木になり、
そこから鳥たちは糸なしで飛び上がっている。

ルイ金貨よりも純粋で、黄色く熱いまぶた
リュウキンカは ― きみの夫婦の誓い、おお人妻!―
急な真昼に、くすんだ鏡にいて、羨んでいる、
熱い灰色の空のいとしいバラ色をした球体を。



             3
夫人はまっすぐ立ち、労働の糸が雪と降る
近くの草原にいる。日傘を持ち、散形花序の花を
踏みつけ、その花に対しては過大な誇りを持ち、
子どもらは花開く緑のなかで

赤いモロッコ皮の本を読んでいる! うわっ、彼は、
街道上で離れ離れになる白い千の天使らのように、
山の彼方に遠ざかっている! 彼女は、まったく
冷えて、黒い、走っている! 出発した男の後を!



             4
後悔、純粋な草の若く太い腕々への!
四月の月の黄金、聖なる寝台の中心に! 作業場の
歓喜、見捨てられた川沿いにあり、八月の
宵々の虜になって、それらは腐敗の芽を出させた!

なんと彼女は泣いている、いま城壁の下で!
上から来るポプラの呼気はそよ風だけのためにある。
それから、広がりがある、光沢なく、水源なく、灰色の。
ある老人、すくい網漁師、不動の小舟のなかで、苦労。



             5
陰鬱な川の輝きのおもちゃである、ぼくはそこで掴む
ことができない、おお不動のボート! おお! 腕は
とても短い! どちらの花も。悩まされる黄色い花も、
そうさ。灰色の水に仲がいい、青い花も。

ああ! 柳の粉、翼が揺すっている!
葦原のバラたち、ずっと前にむさぼり食われた!
ぼくのボート、やはり動かない。その鎖、端のない
川の輝きの水底に曳かれて、― どんな泥へ?





             恥

       刃があの脳みそを
       切らない限り、
       あの袋、白くて生で脂肪質、
       湯気を立て決して新しくないが、

       ( ああ! 奴め、切らねば
       なるまい、あいつの鼻、唇、耳、
       腹を! それに両足も捨てねば!
       おお、素晴らしいことだ!)

       いや、違う。真実、ぼくが思うに、
       あいつの頭には刃を、
       脇腹には砂利を、
       腸には火炎を、

       ぶち込まない限り、ガキにして
       手足まとい、ど阿呆の獣は、
       一瞬もやめないに違いない、
       策を弄したり裏切り者であることを、

       ロッキー山脈の猫のように、
       あたり一帯に悪臭を放つことを!
       そいつの死には、それでも、おお
       神よ! 祈りが立ちのぼるように!




烏たち


           烏たち

主よ、草原が寒いとき、
取り壊された集落のなかで、
お告げの鐘が黙ったとき. . .
花の散ったその自然にうえに
大空から襲いかからせたまえ、
甘美でいとしい烏たちを。

厳しい叫び声の奇妙な軍隊よ、
冷たい風がきみらの巣々を襲っている!
きみらは、黄色くなった河に沿って、
ふるい十字架の丘が点在する道のうえで、
溝やくぼみのうえで、
散開せよ、結集せよ!

何千となく、フランスの田園で、
そこは一昨日の死者たちが眠っているが、
旋回せよ、そうだろう、冬、
道を行く一人ひとりが思い返すために!
義務を触れ回る役人であれ、
おお、我らの不吉な黒い鳥!

だが、空の聖者たちよ、魔法にかけられた
宵にまぎれるマストのような、小楢の梢に、
五月のムシクイ鳥たちを放っておくのだ
森の奥底で鎖につながれている者たちのために、
逃れることもできない草のなか、
前途を絶たれた敗北で。



カシスの川


          カシスの川

カシスの川は人知れず巡っている、
   奇妙な渓谷を。
百羽の烏の鳴き声はそれに伴奏する。
   天使の真実で良い歌声だ。
樅の林が大きく動いている、
   いくつもの風が飛び込むときに。

すべては巡っている、いにしえの戦場の、
   視察された主塔の、大公園の
憤らせる神秘とともに。
   これらの岸辺でこそ、人は聞くのだ、
遍歴した騎士たちの死んだ情熱を。
   だが何と健全であることか、風は!

歩行者がこれらの格子に注意するなら、
   彼はもっと勇敢になるだろう。
主が遣わす森の兵士たち、
   甘美でいとしい烏たち!
悪賢い農民をここから追い払ってくれ、
   そいつは古い切り株の腕で乾杯している。





                涙

  鳥たちから、羊の群れから、村の娘たちから遠く離れて、
  ぼくは飲んでいた、ハシバミの柔らかな林で
  囲まれたどこかのヒースの中にうずくまって、
  午後の心地よい緑の霧の中で。

  何をぼくは飲めたのか、この若いオワーズ川で、
  声のない楡の若木、花のない芝生、曇り空。
  何をぼくは取り出していたのか、里芋の瓢箪で?
  金色のリキューが少々、風味がなくて汗ばむのさ。

  そのように、ぼくは宿屋の悪い看板に
  なったかもしれない。そして雷雨は空を変えた、
  夕方まで。それは黒い国々、湖、竿、青い
  夜の下の列柱、駅だった。
  
  森の水は処女の砂の上に消えていた。
  風は、空から、氷塊を沼にまき散らしていた. . .
  さて! 金や貝を採る者のように、
  ぼくは飲むのに関心がなかったというのに!

                     5月 1872



朝の良き思い


         朝の良き思い

     朝の四時、夏、
     恋の眠りはまだ深い。
     木陰の下で夜明けが蒸発させる
          祝いの夜のあのにおい。

     だが向こうでは、巨大な作業場で
     ヘスペリデスらの太陽に向かって、
     シャツ姿で、大工たちが
          もう体を動かしている。

     彼らの苔むした静かな荒野に、
     彼らは高価な上張りを準備する
     そこでは町の富が
          偽りの天国の下で笑うだろう。

     ああ! その素敵な職人たちよ
     君たちはバビロン王の臣下であるから、
     ヴィーナス! 彼らのために少し離れよ
          魂が冠をいただいた愛人たちから。

          おお、愛人たちの女王よ!
     働き手らにブランデーを届けよ、
     彼らの力が安らかであるように
     正午に、海での水浴びを待つあいだに。

                  五月 1872



[ ぼくらにとって、それは何なのか. . . ]


 [ ぼくらにとって、それは何なのか. . . ]

ぼくらにとって、それは何なのか、わが心よ、
血と燠の広がり、千の殺害、怒りの長い叫び声、
すべての秩序を覆す地獄全体の嗚咽、
そして残骸の上に今も吹く北風や

すべての復讐は? 何もない!. . . ― いや違う、全くまた、
ぼくらは復讐を要求する! 実業家、君主、元老院、
滅びよ! 権力、正義、歴史、倒せ!
それがぼくらに必要だ。血だ! 血だ! 金の炎だ!

すべてを戦争に、復讐に、圧制に、
わが精神よ! 噛みついて回転だ。ああ! 消え去れ、
この世の共和国! 皇帝、
連隊、入植者、民衆、もうたくさんだ!

いったい誰が怒り狂った火の渦をかき回すだろうか、
ぼくらとぼくらが兄弟と思う者を除いて?
ぼくらに! 夢見る友を。それはぼくらの好むところだ。
決してぼくらは働かないぞ、おお火の波よ!

ヨーロッパアジアアメリカ、消えうせろ。
復讐するぼくらの行進は全く占拠した、
都市も田舎も!― ぼくらは苦しめられるだろう!
火山は爆発し! 海は襲われ. . .

おお!わが友よ! ― わが心よ、確かに、彼らは兄弟だ。
見知らぬ黒人よ、ぼくらが行ければ! さあ! 行こう!
おお不運かな! ぼくは震えを感じている、古い大地は、
だんだんきみらのものとなるぼくに向かい! 溶けている、

何でもない! ぼくはここだ! ぼくはいつもここにいる。



[ 星はバラ色に泣いた. . . ]

 
     [ 星はバラ色に泣いた. . . ]

星はバラ色に泣いた、きみの耳の中心に、
無限、きみのうなじから腰へと白く動いた、
海は褐色の玉になった、きみの朱色の乳房に
そしてその男、きみの至高の脇腹に黒い血を流した。





牧神の頭


           牧神の頭

葉叢では、そこは宝石箱、緑にして金の彩り、
葉叢では、そこは不確かだ、そして接吻が眠る
すばらしい花々に飾られている、生き生き
として、洗練された刺繍を引き裂く、

度を失った牧神は二つの目をむき出して
赤い花々を彼の白い歯で噛んでいる。
古い葡萄酒のように褐色で血だらけの
彼の唇は枝々の下で笑いはじけている。

そして彼が逃げたとき ― 栗鼠のように ―
彼の笑いはそれぞれの葉でまだ震えていて
一羽の鷽にぎくっとした森の金の接吻が
見えている、そこは静まり返る。



花について詩人に言ったこと


     花について詩人に言ったこと
           テオドール ドゥ バンヴィル氏に


             I
そのように、いつも、暗い紺碧に向かい、
そこはトパーズの海が揺れているが、
きみの宵で機能するだろう
ユリたちが、恍惚のそれらの浣腸が!

ぼくらのサゴの時代に、
植物が労働者であるとき、
そのユリは青い嫌悪を飲むだろう、
きみの敬虔な散文のなかの!

― ケルドレル氏のユリ、
一八三〇年のソネット、
吟遊詩人に与えられるユリ、
撫子やアマランサスとともに!

ユリを! ユリを! 人はそれを見いださない!
なのにきみの詩では、優しく歩く
女の罪びとらの袖のように、
いつもそれらの白い花々が身震いしている!

いつも、貴方よ、きみが入浴するとき、
きみのシャツはブロンドの両脇のところで
膨れているのだ、汚らわしいワスレナグサの
上を吹く朝のそよ風に!

愛はリラたちしかきみの入市税として
渡さない、― おお、たわ言だ!
森の菫たちしか、
黒いニンフたちの甘い唾々!. . .


             II
おお、詩人たちよ、たとえきみたちが
バラたちを手に入れ、バラたちは
膨らんで、月桂樹の茎のうえで赤く、
千オクターブで膨れ上がっていても!

たとえバンヴィルがそれらを使って、
血の色で渦巻く雪を降らせ、
悪に好意的な読み方をした
異邦人の狂った目を殴っても!

きみたちの森の、きみたちの牧場の、
おお、とても温和な写真屋たちなんだ!
植物相はおよそ変化に富んでいても
デカンタの栓たちのようなんだ!

相変わらずフランスの植物ばかり、
邪険で、肺病もちで、滑稽だ、
そこでは短足の犬の腹が
うろついている、安らかに、夕暮れを。

相変わらず、青い蓮やヒマワリの
恐ろしい図画の先には、
バラ色の版画、神聖な画題、
若い娘の聖体拝領のためのだ!

アソカの頌歌は高級娼婦の
窓辺の詩節に合致する、
そして華々しい重い蝶たちは
雛菊にフンをする。

古い草むら、古い飾り紐!
おお、植物性のクロキニョル!
古いサロンの奇妙な花々!
― コガネムシ用だ、ガラガラヘビ用ではない、

その泣いている植物性の赤ん坊らを
グランヴィルなら誘導紐で書いただろう、
そして意地悪色でまびさしをした
輝く人らが授乳したんだ!

そう、きみらの牧笛のにじみは
貴重なグルコースを作っている!
― たくさんの揚げ卵、古い帽子のなかだ、
ユリ、アソカ、リラ、バラ!. . .


             III
おお、白い狩人、きみは靴下なしで
牧羊神の荒れ地を走っている、
きみは多少植物学を知ることは
できないのか、知るべきではないのか?

きみが赤茶色のコオロギにハンミョウを
続けさせるのではないかと、ぼくは心配している、
ラインの青にリオの黄金を、―
要するに、ノルウェーにフロリダをだ。

しかし、いとしい人よ、芸術はもう、今や、
― これが真実だが、― 許さないのだ、
驚くべきユーカリの木にいる
ヘクサメトロスの大蛇らを。

それだ!. . . あたかもマホガニーが、
ぼくらのギアナにおいてさえ、
尾巻猿の転落や、つる植物の重苦しい錯乱
にしか役立たないように!

― 要するに、花というものは、ローズマリーであれ
ユリであれ、生きていようと死んでいようと、
海鳥のフンほどの価値があるのか?
ろうそくの一滴の涙ほどの価値があるのか?

― ぼくは言いたいことを言った!
きみは、あそこで座ってさえいる、竹の
小屋のなかで、― 鎧戸を閉め、
褐色のインド更紗の壁掛けのなかで、―

きみはばかげたオワーズ川にふさわしい
開花をぞんざいに仕上げるだろう!. . .
― 詩人よ! それは尊大で
笑うべき理屈だ!. . .


             IV
語れ、激しい反乱による
黒い春のネコらではなく、
タバコやワタの木を!
語れ、異国の収穫を!

語れ、ポイボスが焼いた白い額、
何ドルの年金をペドロ ヴェラスケス、
ハバナ、が受け取るのかを。
軽蔑しろ、ソレントの海なんか

そこは無数の白鳥が行く。
きみの詩節は広告であるがいい、
ヒュドラと波で掘り返された
マングローブの倒れた堆積のために!

きみの四行詩は血みどろの森に
飛び込む、そして戻る、
人間に白い砂糖や肺の薬やゴムの
いろいろな主題を提案しに!

きみを通してぼくらは知ることにしよう、
熱帯あたりの、雪を頂く峰々の黄金色が
多産な昆虫たちなのか、それとも
微小な地衣類なのかを!

見つけろ、おお狩人よ、ぼくらは見つけることを
望んでいる、芳香を放ついくつかの茜を。
自然がズボンに
花咲かせるように!― ぼくらの軍隊のために!

見つけろ、眠りの森のはずれで、
鼻面にそっくりな花々を、
そこから金色のポマードが垂れている、
水牛の黒っぽい髪の上に!

見つけろ、青の上で柔毛の銀が
震えている気違いじみた草原で、
エキスのなかで煮える火の卵で
いっぱいの萼たちを!

見つけろ、綿毛のアザミらを、
燠火のまなざしをした十頭のロバたちが
その結びを紡ごうと努力している!
見つけろ、椅子である花々を!

そう、見つけろ、黒い鉱脈の中心で
ほぼ石の花々を、― 名高い!―
それらのブロンド色の固い子房のあたりに
あるのは、宝石で飾られた扁桃腺だ!

ぼくらに出すのだ、おお笑劇の役者よ、
きみはそれが可能だ、豪華な朱色の大皿の上の
どろっとしたユリの煮込みを、
それはぼくらの合金のスプーンを腐食する!


             V
誰かがやがて語るのは、大いなる愛、
暗い免償の盗人だろう。
しかしルナンもムル猫も
巨大な青い酒神杖など見たことがない!

きみは、ぼくらの麻痺のなかに
香りによって極度の興奮を起こさせよ。
ぼくらを熱狂させろ、純真に向かって
マリアらよりもさらに純真に. . .

商人! 入植者! 霊媒!
きみの脚韻は湧き出るだろう、バラ色や白色で、
ナトリウム光線のように、
あふれ出るゴムのように!

きみの黒い詩編では、― 軽業師!
屈折した白、緑、赤の光線たちが、
奇妙な花々や電気の走る蝶々から
抜け出している!

ほら! これは地獄の世紀だ!
それで電信柱は飾り立てようと
している、― 鉄の歌には竪琴を、
きみの見事な肩甲骨を!

とりわけ、ジャガイモの
病気についての解釈を韻文で書け!
― そして、神秘に満ちた
詩の創作には

トレギエからパラマリボまで
読まなければならない、
フィギエ氏の何巻かを買い足せ、
― 挿絵入り! ― アシェット書店だ!

                アルシド バヴァ

A.R.
1871年7月14日


[ 正義の人 ]


         [ 正義の人 ]

正義の人は頑健な腰でまっすぐ佇んでいた。
一筋の光線はその肩を金色に染めていた。汗がぼくを
捕えた。《きみは流星群がきらめくのを見たいか?
そして、直立して、乳色の星々の月経や
小惑星群がうなるのを聞きたいか?

《夜の笑劇によって、きみの額は見張られている、
おお、正義の人! 屋根のところに行くべきだ。祈りを
唱えろ、口は静かに償われたきみのシーツにうずめ。
そして道に迷った誰かがきみの戸口を叩いたならば、
言うんだ。兄弟よ、あっちに行け、おれは不具だ!》

しかし正義の人は直立して佇んでいた、太陽が
死んだ後の芝生の青みがかった激しい恐怖のなかで。
《それなら、きみは自分の膝当てを売りに出すのかい、
おお老人よ? 聖なる巡礼者! アルモールの吟遊詩人!
オリーブ山の泣き男! 憐憫の手袋をはめた手!

《家族の顎ひげにして都市の握力、
とても優しい信者。おお心よ、聖杯のなかに落ちた。
威厳と美徳、愛と盲目、
正義の人! 雌の猟犬よりも愚かでむかつく奴!
ぼくは苦しみ、反抗した人だ!

《腹ばいになって泣かせるぜ、おお愚かだ、
まさにお笑いだ、きみの許しで有名な希望なんか!
ぼくは呪われている、いいかい! ぼくは酔って、狂って、
蒼白だ、きみの望むところだ! さて寝に行けよ、どうした、
正義の人! ぼくはきみの麻痺した脳なんか要らない!

《きみは正義の人だ、要するに正義の人! もう充分だ!
真実は、公平なきみの優しさや理性が
鯨のように夜、鼻をすすっていることだ! そしてきみが
自分を追放させ、挽歌を喋りまくっていることだ、
砕けた杖の恐るべき先端を支えにな!

《そしてきみは神の目だ! 臆病者! 神の冷たい足の裏が
ぼくの首をたとえ踏んで行っても、きみは臆病者!
おお、きみの額よ、しらみの卵でいっぱいだ!
ソクラテスやイエス、聖者や正義の人、不快だ!
至高の呪われた人を敬え、血まみれの夜々にいるぞ! 》

ぼくは地上でそのことを叫んでいた、なのに穏やかで
白い夜は天上を占めていた、ぼくが興奮している間に。
ぼくは額を高くした。幻は逃げていた、
ぼくの唇の激しい皮肉を奪いながら. . .
― 夜の風! 呪われた人へ来い! 彼に話せ!

そうしている間、蒼穹の柱々のもとで音を
立てず、彗星の尾と宇宙の交点を長く伸ばし
ながら、破綻のない巨大な動き、
秩序、永遠の夜警は輝かしい天空に漕ぎ進み
燃えあがるその引き網から星々を流している!

ああ! 奴は立ち去るがいい。奴、その喉は恥辱を
巻きつけられ、ぼくの倦怠をいつも反芻し、
虫歯の上の砂糖みたいに甘ったるい。
― 凶暴なわんわんらに襲われた後の雌犬のようだ、
食いちぎられた臓物が垂れ下がるその脇腹をなめている。

ほざくがいい、垢だらけの慈愛や進歩なんかを. . .
― ぼくは激しく憎悪する、太鼓腹でうろんな奴らの
すべての目を、それから死にそうなたくさんの子どもらの
ようにナナを歌う奴を、突然歌いだすおとなしい馬鹿どもを。
おお正義の人ら、我々は砂岩のきみらの腹に糞をたれてやる


税関吏


            税関吏

畜生め、と言う奴ら、とんでもない、と言う奴ら、
兵士ら、水兵ら、帝国の残存兵ら、退役軍人らは
無能だ、まったく無能だ、条約の兵士らの前では。
斧を大きく振り国境の青空を切るのはその兵士らだ。

歯にパイプ、手に剣、重々しく、邪魔されずに、
闇が森に雌牛の鼻面のように涎を垂らす頃、
彼らは出かける、綱をつけた番犬を連れて、
夜陰に乗じてとんでもない元気を発揮しに!

彼らは牧羊ニンフらを現代法に告発する。
彼らが引き止めるのはファウストらやディアヴォロら。
《それは駄目だ、じいさんらよ! 包みを置くんだ!》

平静殿下が若い娘に近寄るとき、
その税関吏がこだわるのは検査する胸!
軽い過ちの者には地獄だ、彼の手のひらが軽く触れて!


シラミを探す女たち


        シラミを探す女たち

その子の頭が、赤い騒乱に満ち、
ぼんやりした夢の白い群れに哀願していると、
彼のベッドの近くに来るのは、二人の素敵な姉たちだ、
華奢な指で、銀色の爪をしている。

彼女たちはその子を、大きく開いた窓の前に座らせる、
そこは青い大気が雑多な花々を通って流れている、
そして露が垂れる重い髪のなかで巡らすのは
彼女たちの細い指々、恐ろしく魅惑的。

彼は彼女たちの恐がる息が心地よく歌うのを聞いている、
それは植物の薔薇色の長びく蜜の匂いがする、
そして時々ひゅうひゅうという音を止める、唇の
つばをなめるのか、それとも接吻の欲望か。

彼は芳香を放つ沈黙のなかで、彼女たちの黒いまつげの
瞬きが聞こえている。そして彼女たちの電気の走る心地よい
指々は、彼のどんよりした無気力の間でぷちっぷちっと
いわせている、彼女たちの見事な爪の下で、シラミらの死を。

ほら、彼のなかに怠惰の酒が上がってくる、
錯乱しうるハーモニカのため息も。
その子は感じている、愛撫の遅さにしたがって、
泣きたい気持ちがたえず湧き出ては消えるのを。


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